ベリス・メルセス宣教修道女会

三階の窓から見える銀杏の樹
金色の葉を惜しげもなくふり落として
樹齢はいくつの冬を越えたのでしょうか
移り変わる住人の歴史を見守っています
私はたかだか八十余年の人生
樹の足元にも及ばないのに
何事もないかのように
風雪に耐えぬいた
樹の強さが私を惹きつけます

 

姿形の美しい樹
樹の瘤も裂け目もなく
薄茶色の樹皮をまとい
復活のローソクのようにどっしりと
上へ上へと向かって交差する細い枝
その背後の空のひろがりから
光と風をすくいとって
大地から生命力をくみあげています

  

銀色の空からの雪を
枝にほどこすこともなく
超然と立っている樹
風のまにまに軽やかに舞う雪
細い枝々めぐる風花の美しさ
天の意匠のもとに
冬の季が満ちています

 

凛として寒気の中で
もうすぐ春ですよと
樹の精が樹液と共に
こだまのように巡っています