ベリス・メルセス宣教修道女会

神のあわれみと慈しみのしるしとして世に派遣される

三階の窓から見える銀杏の樹
金色の葉を惜しげもなくふり落として
樹齢はいくつの冬を越えたのでしょうか
移り変わる住人の歴史を見守っています
私はたかだか八十余年の人生
樹の足元にも及ばないのに
何事もないかのように
風雪に耐えぬいた
樹の強さが私を惹きつけます

 

姿形の美しい樹
樹の瘤も裂け目もなく
薄茶色の樹皮をまとい
復活のローソクのようにどっしりと
上へ上へと向かって交差する細い枝
その背後の空のひろがりから
光と風をすくいとって
大地から生命力をくみあげています

  

銀色の空からの雪を
枝にほどこすこともなく
超然と立っている樹
風のまにまに軽やかに舞う雪
細い枝々めぐる風花の美しさ
天の意匠のもとに
冬の季が満ちています

 

凛として寒気の中で
もうすぐ春ですよと
樹の精が樹液と共に
こだまのように巡っています

03-3311-6146