ゆるい坂道の側の家
入口に木蓮のプランターがあって
今日を選んで咲いた命
涼しげに白い花が二つ
暑さに負けて
郵便局を明日にのばしたら
出会えなかった小さな花
朝ひらき夕べにしぼむ一日花
束の間に散ってゆくはかなさが
木蓮の命を尊いものにしている
暑さにうだっている私に
届いた花のエール
一日一日を悔いなくすごすように
地震と津波に耐え残った
一本松をしのばせるような
けなげな植物との一期一会
はるかな遠い雲のような
まっ白な小さな花の
やさしさと強さの
花の心にあやかって
体の中から力が湧いてくる
暑さに負けてはいられない