ベリス・メルセス宣教修道女会

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イージス・システム搭載艦とは何か 住民の会「防衛省申し入れ」に参加して

今から1年半前の2020年6月15日、「イージス・アショア配備計画」は撤回されたはずなのに、萩では又、住民の会によって「防衛省申し入れ」が始まりました。その理由を、イージスアショア配備計画の撤回を求める住民の会の方が寄稿してくださいましたので掲載します。

11月18日(木)午前、山口県萩市総合福祉センター大会議室において、「イージス・アショア配備計画の撤回を求める住民の会」(以下、住民の会)が、中国四国防衛局(広島)と電話をつないで申し入れを行いました。申し入れは、地元自治体である萩の協力のもと、防衛省と萩市に対して、イージス・アショアのレーダーを転用するとされているイージス・システム搭載艦についての説明を求めるものでした。

2020年6月15日の計画撤回以降、申し入れは中断されていました。それは、撤回について「国として地元住民に説明をする」と当時の河野太郎防衛大臣の発言があったことを受け、正式な説明を待つとすることが理由でした。しかし、あれから1年半近くになりますが、コロナ禍を理由に住民説明会は実施されていません。

他方で、イージス・アショアで使用するために契約した、ロッキード・マーティン社の構想段階・未完成のレーダーの契約を破棄せず、新たなイージス・システム搭載艦2隻を、建造するという案が発表されました。

この様に、未だ住民への説明がない事に加え、代替案であるイージス・システム搭載艦の配備計画が全く不明であることから、今年8月から申し入れを再開することとしたのです。

さて、このイージス・アショア。もはや多く国民市民からは忘れられているかもしれません。2017年の12月の閣議決定で導入が発表され、2018年に山口県萩市と秋田県秋田市が配備候補地となりました。

防衛省による、配備計画遂行のお願いともいえる住民説明会が度重なって開かれ、賛否にゆれる市民の分断が大きく深まる寸前に、突然の配備計画の撤回。振り回された候補地地元でさえ、もはやイージス・アショアのその後を語る人は稀です。

しかし、この日は、住民の会の事務活動等をするメンバーに加え、かねてからの活動やイベントに参加して下さった市民の皆様、県議会議員・他市市議会議員にもご参加いただき、総勢16名での申し入れとなりました。

萩市からは、副市長以下、総務部職員が同席してくださり、2年半前から終始市民に丁寧な対応をして下さってきたのと変わらず対応して頂きました。

電話の声をマイクで拾い室内スピーカーで、全員で聞きながら、防衛局の担当者と質疑応答をする形で申し入れは進行しました。

質問に対する回答は、すべて「今後開催する予定の住民説明会で直接発言して聞いてください」の一点張りでした。これには、代表以外の参加者も業を煮やし、次から次と発言が続きました。50分ほど続いた質疑応答は、全く内容のある回答を得られないまま、時間の限りを理由に終了となりました。

申し入れに参加して、このイージス・システムに関する現状は、代替案について確たる説明可能な計画が無いことを感じました。さらに、その背景には、電話対応した防衛局の一職員では語ることのできない理由があることを感じました。

この日の申し入れでは、「住民説明会の開催」と「レーダーの選定問題」についても回答要求をしました。

イージス・アショア用に採用されたロッキード・マーティン社製(以下、LM社)のSPY-7レーダーは、構想段階・未完成にも関わらず、米軍ですでに採用されているレイセオン社製SPY-6および基本システム「ベースライン10」を差し置いて、契約に至っています。しかも、政府と政府で契約をするFMS(対外有償軍事援助)ではなくDCS(直接商取引)で、日本政府とLM社が契約を交わしているのです。LM社の日本側の輸入代理店の一つは安倍晋三元首相の兄が顧問を務める三菱商事です。なぜ、構想段階・未完成のレーダーを選んだのか、そこを追求する申し入れに対し、どのように回答をするのか、今後重要な点となります。

これからも、地上イージス・アショアから洋上イージス・システム搭載艦へと計画が変貌した一連の流れを総撤回することを求め続けていきます。決して無かったことにしてはならない、それは候補地となった町の住民としての果たすべき役割だと考えています。

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